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『ノラや』

今年の3月に、テレビかラジオで

動物写真家か誰かが

「内田百閒の『ノラや』がいい」と言っていたので、

すぐに文庫本を購入したものの、

私のことだから

積読状態になっていた。

読み始めてみると、

そのユーモア感覚や

猫のノラやクルツへの優しいまなざしに

心打たれる。

旧仮名で書いてあったり、

内田百閒が明治生まれだということも

忘れてしまって、

大切に大切に読んだ。

旧かなと言っても、

書かれている時代は

昭和30年代の初めのことなので、

ものすごく古い時代のことでもないのだけれど、

それでも時代背景の違いを感じつつ、

なおかつ、

時代を超えて、猫は可愛い、という気持ちになる。

家で育てていたノラがいなくなったのを嘆く様子は、

少し、老人性うつもあるのでは、

とも思われるけれど、

猫が戻ってこない悲嘆を綴りながらも

ふっと笑わせる一文があったり、

この文章の自在ぶりのすごいこと。

ノラが戻らないまま、

ノラにそっくりのクルツを居つかせて

クルツとの暮らしを楽しんでいたのに

そのクルツが病で亡くなってしまった嘆き。

自分が猫を飼っているせいもあり、

ノラやクルツの描写を読んでいると、

読んでいるだけなのに

猫の毛並みを掌に感じるような気持ちになる。

百閒先生は、きっとあの世で、

ノラやクルツと楽しく暮らしているに違いない。

猫派必読の書らしいが、

確かにその通りであった。

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