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『大いなる陰謀』

重い、映画だったけれど、

気になった場面をもう一度見ようとして、

結局、通してもう一度観てしまった。

最後の方で、

メリル演じるジャニーンが

タクシーの窓からホワイトハウスなどを観て、

涙ぐむシーンがある。

最初に見たときは、

ホワイトハウスを観て、

アーヴィング上院議員に対する敗北感から

涙ぐんでいるのかと思った。

なにしろ、彼女は、

アーヴィング上院議員が彼女に提供してきた情報が

ホワイトハウス入りを狙う議員の

マスコミに仕掛ける陰謀だと気がついているから、

議員におめおめと利用されはしない、

自分はその件について記事を書くようなことしない!

と言っていたのだ。

しかし、せりふや、場面で明示はされないものの、

臨時ニュースでその話が流れているシーンがあるわけだから、

結局、自説を曲げて、

記事を書いたということが示唆されている。

映画の前半では、

記者と議員は、丁々発止の言葉の応酬を行っていたのに、

現実の苦みを表す場面では

起こった結果だけが映し出されている。

だから、彼女が涙ぐんだのは、

敗北感からだと、私は思ったのだ。

でも、もう一度観ていて、

ホワイトハウス以外の窓の外の風景にも

何か意味があるような気がしてきた。

ただ、残念なことに、

私には、すぐに何だかはわからない。

たぶん、アメリカ人なら、

その景色を見れば、すぐにわかるんだろうと思う。

整然と石が並んでいる。

どうも、墓石のような気がする。

あれ?

アーリントン墓地、というところかしら?

アーリントン墓地、

テレビのニュースで、

訪米した日本の要人が訪問しました、

と何度か聞いた覚えはあるけれど、

それほど具体的なイメージはないし、

塀の外からのアングルの墓地の写真は見たことがない。

でも、私たちが、

どのアングルから映されても

東京タワーは東京タワー、

とわかるように、

アメリカ人、

少なくともこの気難しい映画を見ようというアメリカ人なら、

その場面が何なのかは、

言葉の説明がなくてもわかるんだろう。

そして、そこが、アーリントン墓地であるのなら、

ジャニーンの涙も

もっと深いメッセージがあるんだと思える。

ジャニーンは、

自分の流したニュースにより、

アーヴィング議員の目論見があたり、

世論が対テロを支持し、

若い人たちが戦場に赴いて

死んでいくことになることを改めて認識し、

自分が議員の陰謀に加担してしまったのだ、

という自責の念が湧いてきたのだろう。

映画の大半を、

記者と上院議員、

レッドフォード演じる教授と

才能あるけれど、社会の現実と向き合わない学生の

会話で進め、

弁舌の戦いとは、これだ!

という具合に話を展開しておいて、

結局行動を起こした若者たちは

アフガニスタンの山中で、

議員の陰謀のために命を落とし、

アメリカにいる登場人物たちは、

言葉を失って、どうしていいかわからずにいる、

というのが、表情だけであらわされる、という作り。

私の頭には、難しすぎる・・

でも、お金があれば、DVD購入して、

何度でも、メリルの演技を見直したい誘惑には

駆られる。

ジャニーン自身について語られる部分はそう多くないのに、

画面の中のメリルに

気鋭の記者として活躍してきた女性を

充分感じさせられるのだ。

メリルが、これこれこういう役割の女性を演じている、

というのではなく、

メリル・ストリープの肉体を使って

そういう女性がそこにいる、と感じさせられる。

やっぱり凄い。

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