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分家の悲劇

先日、白内障の手術で入院した時、

栄養士による食事の指導があったらしい。

母は、急に塩分の取りすぎに神経質になった。

もともと、血圧が高めなので、

それなりに薄味の食事をしていたはずなのに、

ぬか漬けは塩分が高い、と言い出した。

80幾つまで元気に過ごし、

今差し迫って、何かの症状で困っているわけでもない人に

栄養士が知りえている範囲の知識で

「食事の指導」って

そんなに重要なことかしら、

と疑問にも思うけれど、

母は知識のある立場の人に指導されるのが好きだから、

自分はもうこれでいい、

好きなように食べていくんだ、とは思わない。

そりゃあ、毎食、

ぬか漬けのキュウリ一本とか食べていたら、

塩分の取りすぎになると思うけど、

一本つけたキュウリを

少しずつ食べるのであれば、

「要注意」というほどの

塩分摂取にはならないのでは?

という発想は、母にはない。

みそ汁はやはり飲んでしまうけど、

ぬか漬けは食べないことにしたそうだ。

いや、みそ汁一杯のほうが、

ぬか漬けのキュウリ3切れより、

塩分高いと思うぞ。

それで、ぬか床は捨ててしまったそうだ。

どうも、このごろ、ぬか床の匂いが変化して、

ぬか漬け混ぜるのが

嫌になっていた様子だった。

それで、ぬか床は捨ててしまった、わけ。

今年の春、私のところから、

母のところに「分家」したぬか床。

母は、処分したぬか床の本家が私だったことなんか、

忘れていた様子であった。

「だから、ぬか床は、捨てたの。」

という母の言葉には、

なんだか、厄介物を処分してやれやれ、

という響きがあった。

知ってるよ、ママ。

ママって、そういうとこ、

信じがたいほど、

何も感じない人なんだよね。

食事の指導をされて、

何だか、自分の食事がとてもよくないように思えてきて、

気に入らなくなってきたぬか床、

自分の周りから追い出しちゃったんだな、たぶん。

ぬか床を渡したときは、嬉しそうにしてくれたけど、

ほんとは、私からもらった、というのが、

嫌だったのかもしれない。

今夜は、捨てられた分家を追悼して、

本家をもう一度、かき混ぜておこう。

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